【f(x)】4Walls考察
こんにちは、エトです。
今回は「4Walls」の考察です。
第一章: MVの謎
クリスタルとルナが目覚めた。
枝に止まる鳥は「1→4→5→4」と数を変える。
1つのグループが5人→4人へ再編された事を暗示か。
ヴィクトリアとクリスタルがブラシで髪を梳かす。
鏡を見つめるクリスタルとルナが重なる。
ジャケットを着ようとすると、ルナからアンバーに様変わり。
花瓶に花を挿すアンバー、ヴィクトリア、クリスタル。
花の数は4輪。
この一見不思議な現象は単純で、4人が「1人」を演じているのだ。
メイキングでも語られたように、クリスタルもヴィクトリアもルナもアンバーも、同一存在なのである。
ここで徐にアンバーがカップを割る。
"割れた"のではなく"割る"のだ。
カップを割ったせいで、クリスタルは何も無いテーブルに紅茶を注いでしまう。
災難は続く。テーブルから伝った紅茶が床を濡らし、ヴィクトリアは足を滑らせる。
頭をぶつけたことで場面が変わり、森に入る。
これまで正方形だった画面比が長方形になった。
残りのメンバーもまた、森へ入る。
ルナが部屋で割ったはずのカップの破片を踏んでしまった。血が滲んでいる。
ここで画面を上にスクロールして、アンバーがカップを割った場面を見て欲しい。
2つのカメラワークはほぼ同じでは無いだろうか。
これが何を意味するのか。
まずはここまでの出来事を整理しよう。
彼女らは朝起床すると髪を梳かし、ジャケットを着て、花を挿し、紅茶を淹れるというルーティーンがある。
これらは正方形の映像の中で繰り返される彼女たちの「日常」である。
しかし、アンバーがカップを割る事で「日常」の流れが崩れ、ヴィクトリアが転倒する。
普段しない事、つまり「非日常」を生んだ事でメンバーは森に入るのだ。
そして非日常の世界に現れた「蝶」がカギを握る。
ここで「胡蝶之夢」に関する話をしよう。
自分が蝶として舞っている夢を見ていた途中に目が覚めたが、それは「人間としての自分が蝶になった夢」なのか、はたまた「蝶が蝶として舞っている夢」を見たのか分からない、という話だ。
つまり、恐らく彼女たちも現実(=日常)と幻想(=非日常)の境界が分からなくなっていると推測する。
f(x)の世界観では、現実と幻想の境界が曖昧になるという現象がよく起こる。最たる例が彼女たちの作品に「マトリックス」が2度引用されているという事だ。
1度目は「Pinocchio」に登場する歌詞
"암호의 미로 헤맸지 그건 널 열기 위한 Key
매트릭스 덮인 껍질을 벗겨내"
"暗号の迷路を彷徨った それはあなたを開くためのKey マトリックスに覆われた皮を剥ぐ"
2度目は「Red Light」でのディストピア要素と黒電話や黒猫などの表象だ。
前回の「Red Light考察」で詳しく書いたが、マトリックスは現実と仮想世界の境界を曖昧にさせる組織とそれを食い止めようとする主人公らの戦いが描かれる。
現実と幻想の区別が曖昧になってしまった彼女たちは、これからどうなるのだろうか。
クリスタルは森の中を彷徨うと、ヴィクトリアと空中に浮いたポットを見つける。
一方、アンバーも空中に浮いたルナを見つける。
道中、朝花瓶に挿した花もあった。
ここでクリスタルが気付く。
ヴィクトリアは幻想で、まさに朝に紅茶を注いだあの時の自分こそが「現実」であるという事に。
つまり、クリスタルの蜃気楼はヴィクトリアである事が分かった。
それまでは迷うようにあちこちを歩いていたクリスタルは、その瞬間から意志を持った様子で走り出す。
しかし、うっかり足を滑らせて泉に落ちてしまった。
その頃、現実世界ではバスタブに花がふつふつと溢れてきた。
「幻想の泉」と「現実のバスタブ」また「幻想の森」と「濡れた床」が繋がっている事から、水は現実世界と仮想世界の入口であり出口であるのだ。
この事に気付くと再びバスタブに潜り、
幻想世界に置いてきた「自我」を取り戻し、
再び現実世界に戻ってきた。
大急ぎでバスタブから出ると、
あの時割ったカップのせいで狂い出した世界を止める為ベッドに入り「あの日の朝」を再起動するのだ。
そして再びアンバーがカップを落とすところを、今度は割らずにキャッチした。
以上がMVの内容だ。
Ⅰ. MVが意味するもの
まずはカップ。何故ルナはアンバーが落とすカップを守ろうとしたのか。
それは恐らくカップ=f(x)を意味するからだろう。
5人から4人に再編されたf(x)は、その危機をカップが割れる事に見立てたと考えられる。
だからこそ、最後にカップをキャッチするのはリーダーであるヴィクトリアなのだろう。
ここで注意すべき点は、アンバーがf(x)を乱そうという意図が無い事だ。あくまでこれは4人が演じた「1人」のムービーだ。
Ⅱ. 4Wallsとは
今回のモチーフとなった4人のメンバーによる4つの壁で構成された正方形。
"Love is 4Walls"
愛は4つの壁、すなわち「愛=4人のメンバー」と考えられる。
メンバーが朝に花瓶へ挿す薄いパープルの「スプレーストック」の花言葉は「愛の絆」だ。
彼女たちは愛の絆で繋がっている。
また、韓国の造語「ノムサビョク」の意味も暗示していると考えた。
ノムサビョクとは
"넘을 수 없는 사차원의 벽"(超えられない壁)の頭文字を取ったもの。
意味としては「絶対に超えられないほど高い壁」として、K-pop界で例を出すとカムバックする度に必ず1位を総なめにする絶対的王者と捉えて良い。
とあるグループがカムバックする時期を発表すると、歌謡番組の賞レースが被るのを避けたりする事がたまにあるが、そのように恐れられているグループこそが「ノムサビョク」と言える。
f(x)も「4Walls」を満を持して引っ提げカムバックをするという自信の表れだろうか。
Ⅲ. クリスタルの謎
MVの最後、ルナ→アンバー→ヴィクトリアと変わってカップを守ろうとする場面。
クリスタルの映し方に何かを感じた。
彼女だけカップを守る動きが見えない。
そして、MV序盤の服装に注目すると彼女だけが青い服を着ている。(ジャケットではなくインナー)
この事から、クリスタルが「4Walls=4つの壁」に囲まれた正方形の中に立つ本体だと考えられる。
つまりクリスタルが本体だと3人は蜃気楼または過去のクリスタルという事だ。
ダンスを見ればよく分かるが、クリスタルがセンターで彼女の動きに後から追従する振り付けが多いのはその為だろう。
第二章: ティーザーの謎
Ⅰ. ティーザー映像の謎
木々の中からクリスタルが現れると、幹からメンバーが現れ、また収束する。
この不思議なティーザーのアイデアは、ミンヒジン先生が大好きなルネ・マグリットの「白紙委任状」だ。
マグリット自らが語った解説を掻い摘んで説明する。
木、馬、女性に注目しよう。普通なら馬と女性は木の幹に隠されて見えない部分がある。
何かが「見える」時、何かが「見えない」のが摂理だ。
例えるなら起きている時に夢は見ないし、昼と同時に夜は来ない。
しかし私たちは「木の幹の陰には馬と女性がいるんだろうな」と認識する事はできる。
空間を移動する馬と女性は、わざわざ私たちに「木の幹の陰にいます」と申告する必要が無いのだ。
この事から題目「白紙委任状」とは、本来馬と女性が「ここにいます」という認識を私たちに委ねる委任状すらも必要無い為、白紙で提出したという意味が考えられる。
Ⅱ. ティーザー写真の謎
MVの内容を少し思い出してほしい。
先程クリスタルの蜃気楼はヴィクトリアと書いた。
理由はこれだ。
クリスタルとヴィクトリアのポーズがそっくりだ。
次はルナ。彼女のティーザー写真は必ずこちらと目が合うようになっている。
しかし、アンバーの写真とは目が合うものと合わないものが混在している。
MVでカップを壊したのはアンバーで、そのカップを守ろうと最前線で動いたのはルナだ。
必ず目が合うルナは秩序を遵守する役割
混在するアンバーは秩序を乱す役割
これらも写真に描かれた謎だと思われる。
Ⅲ. 4の謎
今回は「4」の協調が凄まじかった。
この写真もそうだ。メンバーのアルファベットをなぞると4という数字が書けたり、
中央の「10,21,2015」という数字。
まずは十の位の数を足すと1+2+1=4
次に1の位を引くと0-1-5=-4
どちらも4が浮かぶ数字となっている為、もしかするとカムバックの日程も隠れた4に合わせているかもしれない。
あとがき
「4Walls」考察いかがでしたか。
このMVは極限までシンプルな構図にしたお陰でとても洗練された、味わい深い作品だと思っています。
白い部屋と深い緑の森林のコントラストが大好きです。
ところでここ数日でミンヒジン先生に関する噂が囁かれてしますね。私としてはもし事実であればとても寂しいですが、彼女はとても素晴らしい方なのでこれからのキャリアも応援していますし、一方の今まで手掛けたグループについてもミンヒジン先生以外のアートも楽しみではあります。
さて、今回でf(x)の考察が一旦終了するので次回は新しいグループの考察に入ります。
今度は長丁場になりそうですが、その分膨大な謎が待っているので、今からワクワクしています。
いつ終わるか全く見通しがついていませんが、引き続き今後のリクエストがあればいつでもコメント下さいね^^
それではまた。 エト