【Red Velvet】Bad Boy考察
こんにちは、エトです。
今回は「Bad Boy」の考察です。
第一章: MVの謎
MVは様々な場面が入り混じっている為、時系列が分かりにくいが、考えられるストーリーをそれぞれ書き出してみる。
Ⅰ. 恋愛的模様
浴槽に座る制服姿の5人。
イェリの横には「本」があり、浴室には似つかない「雪」が舞っている。
そして雪原にぽつりと置かれたベッド。
この違和感に気付いただろうか。
本来、温かい浴室に雪は合わないし、
寒い雪原に温かいベッドはおかしい感じがする。
このような現象を"dapaysement"と呼び、美術用語で「モチーフが本来あるべき所ではなく異なる空間に配置する事によって生じる違和感」を指す。
これを用いるのは「シュルレアリスム」派の画家たちの技法で、元々は「シュール」という言葉から来ていると説明すれば分かりやすいだろうか。
そしてこの超現実主義を代表する画家と言えば、私の記事を読んで下さっている方はもうお分かりだろう。
またルネ・マグリットだ。
上の作品は「イメージの裏切り」というタイトルで、忠実に表現されたパイプが描かれているが、その下には「これはパイプではない」と記されている。
いくらパイプの絵を忠実に描いても、これは本物のパイプでは無いーここまでは分かるだろう。しかし、マグリットが言いたい事は恐らくこれほど単純でもなさそうだ。
MVに話を戻そう。ここでは「唇」の絵と「これは唇ではない」と記されている。
唇の絵はよく横向きで描かれるが、縦向きで描かれている事を少しだけ覚えていて欲しい。
ベッドの上でスルギの肩を借りて安心したように眠るジョイ。2人の関係はどこか官能的な雰囲気すらも感じられる。
この2人は恋人関係にあると推測する。
そして2人は本を挟むようにして眠る。上唇と下唇は2人の眠る姿勢に見えないだろうか。
つまりこれは唇ではなく、2人の間柄を唇に模して表した物だと推測する。
しかしスルギは「本」を落としてしまう。本がスルギとジョイの恋人関係を暗示する物ならば、関係が破綻してしまうのではないか心配である。
どこか不安げなジョイの視線の先にはアイリーンが。浴槽ではジョイだけがこちらを向いていない。
この時アイリーンが
"Who dat who dat who dat boy (バッドボーイは誰?)"
と聞いている。これが最重要ポイントだ。
場面が変わりイェリが登場する。彼女は白い布に隠れるようにして先ほどの本を手に取っている。2人の関係性を知ってしまったのか。
そのままどこかへ行こうとするイェリ。
(パジャマの袖がイェリの物と同じ)
しかし、イェリが部屋からこっそり抜け出してどこかへ行くのをウェンディは気付いていたのだ。
誰かがタイプライターの「V」を押すと場面は柔らかな雰囲気から一気に変わる。
イェリが覚醒した。もたれている脚はスルギのものだ。推測ベースだが、イェリはひっそりとスルギに想いを寄せているのではないか。
メンバーが集まって本を読んでいる。ウェンディの本だけ唇のマークがついた例の物だ。つまり、ウェンディも2人の関係を知っているのだろう。
そして彼女は何かの写真を撮ったようだ。
その後カメラを燃やすウェンディ。その様子をスルギとジョイは真剣に見ている。彼女たちの秘密を撮ったカメラを証拠隠滅したと言わんばかりの行為だ。
しかしよく見るとカメラが別物に見えないだろうか。実際に撮ったカメラはオレンジ色だが、燃やしているカメラは黒。
更には撮ったポラロイドを本に挟んでベッドの下に隠すほどだ。ウェンディは彼女たちの味方のフリをしているだけなのか。(パジャマとネイルからウェンディと判断)
2人の関係を知りショックを受けたイェリを守るように耳を塞いであげるアイリーン。
この構図はまさに「Russian Roulette」でも見られたものだ。アイリーンは常にイェリを守ってあげる存在なのだろう。
イェリを可愛がるアイリーンが取った行為は「2人の恋仲を引き離す」事だった。
アイリーンはジョイを誘惑し落としたのだ。
ジョイの裏切りをスルギに告げるイェリ。あれだけ優しい目をしていたスルギの目つきが一変した。
スルギはこれまでとは打って変わって、お金を撒き散らしたり奔放な振る舞いを見せる。
黒いハートのサングラスはまさに「恋による嫉妬や怒りに盲目になった姿」のように見える。
ここでもウェンディが不可解な行動を取る。
彼女はアイリーンとジョイが一緒にいた場所に設置してあった防犯カメラを破壊している。
嫉妬に狂ったスルギは兼ねてから準備していた銃でアイリーンに報復するのか。
しかしアイリーンに限って簡単に自分が狙われるような事をするだろうか?
彼女はスルギがいる白黒の世界(=廃れた心)へ車を走らせる。
彼女の胸中に入り込んだアイリーンはどこか安堵したような表情にも見える。雪原が赤く染まっていると共に、スルギの前髪が突然赤く変化している。
目を覚ますとジョイ以外の4人とキャリーケースが置かれただけの元の雪原に戻っていた。
スルギはアイリーンではなく、裏切った張本人のジョイを撃ったのではないだろうか。
赤く染まった雪原と前髪はジョイを撃った時の血液が連想される。
また、赤い世界でイェリがいない理由は過保護のアイリーンがまたショックを与えないように隔離したのではないかと考えられる。
ベッドはジョイとの思い出の場所、キャリーケースには彼女との思い出が詰まっているのだろう。
思い出の場所から離れていくスルギの姿。手持ちのキャリーケースをどうするかは分からないが、これを処理するにしろしないにしろ、彼女はもうジョイから吹っ切れたのだろう。
初めは眠っていたがアイリーンが目を覚ます描写と共に全員が目を覚ましたようだ。
ここで注目すべきはウェンディだけアイマスクをしていないという点である。
やはりウェンディの謎はここにもあるようだ。推測するに、結局ウェンディは多様な愛がバレないように立ち回る事から「先見の眼」を持っていると考える。
それならば、イェリが座っている「虹模様のユニコーン」の意味がよく分かる。
「Hapiness, Peek-A-Boo」でも触れた
この事からイェリは同性愛的理解のある人間で、その対象はスルギ、そしてまたスルギも同性愛的理解がある。という事だ。
何故イェリとスルギだけが「Peek-A-Boo」で服にLGBTにまつわるメッセージともとれる文字が書いてあったのかは今作に繋がっていたのかもしれない。
以上がメンバーを巡る恋模様だ。
Ⅱ. "Bad Boy"は誰?
冒頭でアイリーンが問い掛けた「Bad Boyは誰?」の答え合わせをしよう。
まず分かっている事はMV中に「悪い男性」は全く登場しないという事だ。
ストーリーを簡単に整理すると
①スルギとジョイが恋人関係
②イェリが気付きショックを受ける
③アイリーンがジョイを誘惑し落とす
④イェリがスルギに密告する
⑤スルギが裏切ったジョイを撃つ
これを「悪い」という概念で考えると真っ先に"悪い"のは勿論アイリーンである。
素知らぬ顔で「Bad Boyは誰?」と問い掛けるアイリーンのアイロニーは流石である。
次に"悪い"のはスルギを裏切りアイリーンに落ちたジョイである。
ジョイは元々他のメンバーと違いスイーツをたくさん食べている姿から見ると甘い物(=誘惑)に弱い人間なのだろう。
そしてイェリ。無垢であるが故にアイリーンに染められて"悪"に落ちていく。
最後にジョイに裏切られた報復として彼女を撃ってしまい"悪"に落ちたスルギ。
それならウェンディは?
彼女の行動はいつも意味深で、更に終始余裕のある笑みすら浮かべていたのが印象的だった。
ジャケット写真に注目すると、中央に「悪魔の尻尾」が見える。
飛躍した解釈にはなるが、この悪魔と最初に契約したのがウェンディで、他のメンバーを"悪"に落とす契約を交わしたのではないだろうか。
そしてタイトルの"Bad Boy" の正体とは。
勿論、この5人の事を指している。
それなら"Bad Girl"では?と思うだろう。しかしよく考えてみてほしい。
私たちは"Bad Boy"と聞くと自然と「悪い男性」をイメージする。それは見た目かも知れないし、性格かも知れない。しかし、それはただの"イメージ"に過ぎない。
"Bad Boy"というタイトルでありながら、"これはBad Boyではない"のだ。
単なるMV中のモチーフとしてマグリットの作品を出したのではない。"Bad Boy"という作品全てがマグリットの「イメージの裏切り」に対する壮大なオマージュなのだ。
これは私たちに対して「イメージ(固定概念)に騙されるな」という警告にも捉えられる。
Ⅲ. ヴァンパイア的要素
これまで「Automatic, Ice Cream Cake, Peek-A-Boo」で考えられてきたヴァンパイアの要素の続編だ。
ここでは本をメタ的に捉えず、そのままの意味の「本」として考えよう。
スルギがジョイに読み聞かせをしている。
これはティーザーを見なければ分からない事であるが、本の表紙にある唇の跡はイェリがつけたものなのである。
イェリの唇と言えば、同じティーザーで血みどろにさせているシーンも見受けられた。タイプライターを使って白いベールを纏って隠れるようにこの本を書いていたイェリ。彼女がこの本の作者である事が伺える。
ではその本の中に書かれている事とは一体何だろうか。
「V」を押すと途端に切り替わる世界。ここからはスルギの読み聞かせの内容か。
勿論、このVは「Vampire」の頭文字だ。
彼女たちヴァンパイアと対比して、後ろにマネキンがある。このマネキンを人間と仮定しよう。
マネキンが乗っている箱のようなものにはタイヤがついている。恐らくヴァンパイアである彼女たちを追う者(吸血鬼では無いかと疑っている者)たちだ。
完全たるヴァンパイアであるウェンディは、自分たちヴァンパイアの血筋が人間により根絶される事を絶対に許さないだろう。
チェキで5人の写真を収め、自分たちヴァンパイアの出来事を綴った「本」に挟み、人間の目につかない所に隠す。
そうして自身の周りを嗅ぎ回る人間たちを抹殺するというシナリオだ。
彼女たちの住処となっている所の変化を見るとその本気さが伺える。今までは普通の屋敷であったが、人間に追われている事に気付くと家具をビニールで覆ったり、椅子を片付けている。
場合によっては住処を捨てる覚悟もあるようだ。
アイリーンはそれまで厳重な警備を敷いていた門の鎖を断ち切り、メンバーを連れて屋敷の外に出る。
屋敷の内外でスプレーをマネキンに吹き掛けているのは「人間を始末」している事の暗示だ。その為マネキンの色は赤くなっている。
彼女たちは吸血鬼なので、ここで人間の血を摂取している事も十分に考えられる。
時を同じくしてウェンディも人間が集まる場所に向かい、人間を始末する。犯行の証拠隠滅の為に防犯カメラを壊すなど後始末も完璧である。
彼女の足元には横たわった(=始末された)マネキンが。
スルギは別の場所へ向かい、雪原にいる。
彼女が持っているキャリーケースには捨てる覚悟の屋敷から持ち出した大事な物が入っていそうだ。
そして一足先にここへ来たスルギは、その場所にすらも人間が追って来ないか警戒している。
ウェンディは追っ手である人間たちが集う場所を燃やし去り、彼らを始末したようだ。
ここでの「BAD BOY」は、彼女たちを追う人間の事を指すのだろう。
そしてジョイが人間がいた箱のような所のドアを余裕のある表情で開けている。
こうして彼女たちは完全に制圧した事が伺える。
屋敷に一旦集まり祝杯を上げるメンバー。
赤いケーキには血のようなものが滴っている。
そして屋敷を離れ、また彼女たちは新たな住処を探しに出るのだろうか。
「Peek-A-Boo」の謎でもあったが、彼女たちの屋敷は数種類あった事から、もしかすると住処を転々としている可能性も考えられる。
ここでジョイがいない点についてはまだ具体的な理由が見当たらない。
しかし、MV中に雪原を5人で歩くシーンは多く見られる為あまりここでは深入りしないようにしよう。
読み聞かせ中はその物語に入り込むように眠っていた5人。読み終わるとアイリーンを始めとして起きる。
冒頭、読み聞かせが始まる時にタイプライターを押した指はネイルの色からアイリーンだと言う事が分かる。
またアイリーンがきっかけとなって今回のMVが始まっていたという訳だ。
そうなると読み聞かせ中にどこかへ行くイェリとそれに気付くウェンディの行動は今後何かに繋がって来そうである。
以上がヴァンパイア要素だ。
第二章: Red Velvetの謎
Ⅰ. 各メンバーの役割
このMVで5人のメンバーがRed Velvetというグループの中でどのような役割を果たしているのか、おおよその枠組みが見えてきた。
①先導者アイリーン
これは有名な要素ではあるが、アイリーンは車が登場するMVでは必ず運転手役である。
また「Rookie」では花男を操っていたり、火をつけて異空間を作り出したり。「Peek-A-Boo」でも最後に車に乗り込むのはアイリーンであるし、電話でピザ屋の配達員を呼ぶのも彼女だ。
つまりRed Velvetにまつわる謎は全てアイリーンがきっかけで発生するのだ。
②主人公スルギ
「Automatic」では苦悩の中に生きる吸血鬼、
「7월7일」では意思をもって船内へ行く姿、
「Rookie」ではアリスの世界に引き込まれ、
「Bad Boy」では裏切られ復讐するスルギ。
彼女は数々のMVの中でも「主人公」のような登場の仕方が多い。
よく彼女だけ衣装が違ったりする点にも共通するのだろうか。
③事態を助長させるウェンディ
「Russian Roulette」では過激なイタズラをメンバーに仕掛けたり、「Automatic」では吸血鬼になりきれないスルギを叱咤するような存在であった。
ウェンディはアイリーンが仕立て上げた物語を加速させる役割を担っていると考えられる。
④開拓者ジョイ
「Hapiness, 7월7일, Rookie」等でジョイは扉を開ける描写が圧倒的に多い。
今回もジョイは扉を開けており、過去のMVではアイリーンが作り上げた物語から脱出しようと試みている。
ジョイはRed Velvetという童話から現実世界に出ようとしているのだろうか。
⑤弱者イェリ
先程のMVの謎でも少し触れたが、イェリは全体を通して「幼い末っ子」感が強い。
「Russian Roulette」ではアイリーンに守って貰ったり、思い通りにならずスネたりしているし、「Bad Boy」でも同じ描写がある。
「Dumb Dumb」では故障したロボットだったり、イェリは「幼くまだ弱い」存在なのだろう。
Ⅱ. 映画的要素
※軽い映画のネタバレがある為、苦手な方はお気を付けて下さい※
今回のMVは「恋愛」と「ヴァンパイア」の2つのストーリーで考えてみたが、その中でも「恋愛」のストーリーと似た映画がある。
"Lost and Delirious"
簡単なあらすじを書くと、女子寮にメアリーという女の子がやって来る。
メアリーは彼女が来るまでは2人1部屋で過ごしていたポーリーとトリーの同室となるが、実はその2人は恋愛関係にあるという事を知ってしまう。
トリーは周囲に同性愛がバレるのを恐れてポーリーを捨て、他の男性と付き合った事からポーリーは絶望し、報復に乗り出すというストーリーである。
そうなるとMVではウェンディがメアリーの立ち位置(スルギとジョイの仲を知る)なのだろう。
制服を身につけている事や、MVのおおまかな考察とも通じる為に紹介をしてみた次第である。
第三章: 衣装の謎
今回のヴァンパイア要素に際して不思議な事があった。
それは、ヴァンパイアが苦手な筈の「十字架」をモチーフにしたアクセサリーがあまりにも多いという事だ。
そしてこのピアスもそうだが、数えてみた所イェリが十字架のアイテムをたくさん身につけている印象を受ける。
「Automatic」の時はまだ人間だったイェリが十字架をつけていたのは理解できるが、彼女は「Ice Cream Cake」でヴァンパイアに仕立てられた筈だ。
つまり、ここではヴァンパイアが嫌う物をあえて登場させる事でヴァンパイアを逆説的に想像させるという手法を取っているようだ。
そしてこのパジャマのデザインだ。
イェリは「MEOW」つまり猫であり、またアイリーンのモチーフでもある。
ウェンディは「CHERRY」とあり「Hapiness」考察で詳しく書いてあるが、LGBTの暗喩でもあり今までのMVに頻繁に登場する果物である。
この2つについては絶対に何かの意味が込められている。恐らく今までの作品に通じている為、グループの謎であろう。
第四章: まとめ
①MVは「恋愛」と「吸血鬼」の物語が考えられる
②やはりアイリーンがきっかけとなりMVが進行
③イェリとウェンディの2人の行動に今後注意すべき
あとがき
「Bad Boy」考察いかがでしたか。
まずは更新が遅くなり申し訳ございませんでした… ブログの設定を間違えていた事と、生活環境が変わった事から1ヶ月遅れての更新になりました。
まだ新しい生活環境に慣れていないので、次の考察も不定期にはなりますが、今から書くのがとても楽しみなのでしばしお待ち頂けたら幸いです。
今回の作品は曲調が今までのKpopの中でも聴いたことの無い独特なサウンドで、Red Velvetだからこそ消化できた素敵な曲だと思いました。
そして重ねての案内にはなりますが、Twitterにて更新報告をしておりますので、そちらも是非ご活用下さい^^ eto. (@kpop_kousatsu) | Twitter
それではまた。 エト
【Red Velvet】Peek-A-Boo(피카부)考察
こんにちは、エトです。
今回は「Peek-A-Boo」の考察です。
第一章: MVの謎
MVを1度観れば大方のストーリーは分かるだろう。
これは「ピザ屋の配達員を狙った事件」である。
では何故彼女たちは殺人を犯すのか、そして彼女たちの背景にある物とは一体何なのか。詳しく考えていく。
石弓を携えたイェリを中心に立つ5人。彼女たちの目の前には大きな「満月」が輝いている。
"PIZZA"のランプを灯した車から慌てた様子で降り、公衆電話に駆け寄る男性。車の中には誰かがいる。
オープニングとエンディングがリンクした構成だ。
真っ赤な服を身に纏い、退廃的な部屋と表情で気怠そうなメンバー。退屈な日常に辟易としているようだ。
場面が変わり、スルギとアイリーンが映る。アイリーンは手に「カミソリ」を持っている。
しかし、"Oh Gosh!"(あらまぁ!) と言うとスルギの顔に傷がついていた。うっかり切ってしまったか?
かと思えば次の瞬間には平然としている。
「椅子に座った人間とカミソリ」という要素で思いつくものは「スウィーニー・トッド」である。
スウィーニー・トッドとは、イギリスの小説に登場する連続殺人犯の理髪師の話(フィクション)である。彼の店の椅子には仕掛けがあり、裕福な人間を地下に落として殺害し金品を奪い取り、カミソリで喉を掻っ切ってトドメを刺す。
恐らく2人はその"ごっこ遊び"をしてスリルを楽しんでいたのだろう。
次に登場するのはウェンディとジョイ。ピザに宝石を置いて遊んでいるようだ。本来食べ物であるピザで遊んでいるのは、ピザを食べる事が目的ではなく、その配達員が目的だからだ。
また、宝石を用いてボードゲームのような遊びをしているが宝石は歴代の配達員の魂の化身とも考えられる。
すると何かを発見したような仕草をするメンバー。テーブルの上には骸骨。過去に仕留めた配達員のものか。
今回のターゲットは赤いユニフォームを着た配達員だ。
ピザを受け取るイェリの後ろでターゲットを一瞥するアイリーン。
ピザで作った家とジョイ。ピザで家を作るとなると材料は違えど思い浮かぶのは「ヘンゼルとグレーテル」だ。
親に捨てられた兄妹が森の中で見つけた「お菓子の家」に住む魔女に誘われるが、殺して食べられそうになるという話。
先程触れたスウィーニー・トッドしかり、ヘンゼルとグレーテルしかり、今回のMVにも共通する点は「ターゲットに近付く時は親しいフリをする」というところだ。
配達員が家から去る姿を見届ける為に楽しそうに廊下を走っている。恐ろしいのはケースの中に飾られているのは歴代のターゲットになった配達員のユニフォームだ。
ピザの箱までコレクションしている異常さ。
そう言えばピザ屋の配達員が来たのに、彼女たちはまだ襲っていない。オープニング〜バルコニーから見える月は「三日月」だったが、MV中間ではその月の位置がどんどん真上に上がりつつある。
恐らく彼女たちは満月の夜に配達員を襲うのだろう。
三日月が満月になるには12日程かかるようだ。
その12日間を"配達員狩り"の武器の手入れや練習に充てているのか。
部屋にも武器がたくさんあり、イェリの手には銃が構えられている。横に置かれていた人形はグロテスクな姿だ。愛玩する人形をこのように傷つける精神状態はサイコパスとしか表現出来ない。
つまり、"配達員狩り"をする心情に憎しみなどの感情は一切無く、むしろ恋をした相手を愛するあまり殺してしまうという恐ろしい性癖を持っているのだ。
ここでイェリが持っている新聞に注目すると、消防士の写真と共に"Robust winds fan flames"とある。訳すと「暴風が炎を煽る」とでもなろうか。
火事現場のニュースだが、暴風に炎を煽られて大火事になったのだろう。何故この記事をイェリが持っているのか?彼女たちに何か関連があるのか?
そしてアイリーンが電話を掛けている。背景には満月の絵。いよいよ彼を呼び出し、"配達員狩り"が始まるのだろうか。浮き足立った様子で階段を駆け下りている。
到着した配達員。迎え入れる際のアイリーンの笑顔がまた恐怖を増長させる。
しかし、日が変わり他のメンバー練習を重ねている。まだ完全な満月では無かったのだろう。だが本番はもうすぐだ。
彼女たちのごっこ遊びは続いており、ジョイがロウソクに囲まれている。ヘンゼルとグレーテルで魔女の役をしていたジョイが火に囲まれているー
まるで数百年前にヨーロッパで大流行した"魔女狩り"としての火あぶりの刑の真似を見ているようだ。
そんな彼女たちを窓から覗く配達員。その姿をジョイはしっかりと捉えていた。
彼女たちは配達を口実に屋敷に招き入れているのではなく、配達員が自ら彼女たちの魅力に当てられて惹き寄せられるように仕向けているのだ。
今から遊びの"魔女狩りごっこ"では無く、自らの"配達員狩り"が行われる事も知らずに。
屋敷で楽しそうに遊ぶ配達員と彼女たち。
目隠しをしてゼリーを食べるという遊びをしていたがー
0時になると途端に時計に視線を送り、立ち上がる。
周りの異変を何となく察した配達員。
彼女たちは0時になると先程までのニコニコとした表情から一変、サイコパスの様な鋭い視線で持って武器を携え廊下を歩いている。
彼の目隠しが外されるとそこにはウェンディがいた。
すると、今さっきまでいたウェンディがスルギ→ジョイ→アイリーン→イェリと次々に姿を変えて配達員を連れて走るのだ。
しかしその後にはイェリが構えた石弓に撃たれて頰に怪我を負ってしまう。
ここで疑問が浮上する。
今まで何人もの配達員を狩り、練習に練習を重ねたはずのイェリが的を外したのか?
それは、恐らくアイリーンが最後に手を下すからだ。
最後に配達員とタクシーの傍にいるシーンの後にユニフォームが映るという事は、アイリーンがトドメを刺したと容易に想像できる。
つまり、イェリはわざと石弓を外して配達員に恐怖心を与え、共に逃げたアイリーンに安心していたところ彼女にトドメを刺されるといったシナリオだ。
MV序盤で触れたスウィーニー・トッドをもう一度確認しよう。彼は「親しいフリをしてターゲットに近付き、相手を確実に仕留める」のだ。ピザ屋の配達と彼女たちのように。
そして、スルギの頰に傷が付くがそれくらいでは死なない。最後は首を掻っ切って殺害する。まさにイェリが頰に傷をつける→アイリーンが殺害する流れと一致する。
また、この危険な遊びの加害者役はアイリーンが一番に映っている。このような遊びで加害者役を買って出るアイリーンの神経はサイコパス気質に溢れている。
ここで思い出して欲しいMVが「Rookie」だ。
彼女たちが童話の世界から出るというシナリオは、全てアイリーンが仕組んでいた。つまり、この"配達員狩り"もアイリーンが始めたのではないだろうか。
「Russian Roulette」もアイリーンが原因となってメンバー同士が争っている。彼女が全ての元凶なのだ。
MVのストーリーに話を戻そう。イェリに弓を掠められ恐怖心でいっぱいの配達員は逃げるように車に乗り、近くにあった公衆電話からSOSを出そうとするが電話は繋がらず、焦燥感を表している。
皮肉にも公衆電話の横の貼り紙にはおびただしい数の"MISSING DELIVERY BOYZ"(行方不明の配達員たち)の顔写真が並んでいた。
彼もまた、彼女たちのコレクションに追加された哀れな配達員と化したのだ。
彼女たちの目の前には大きな満月が燦然と輝いていた。
ここで「月」に関する話をしよう。
今となっては科学的根拠に欠ける部分があるが、アメリカの精神科医アーノルド・L・リーバー氏が発表した「バイオタイド理論」によると、「満月の夜には凶悪的犯罪が増加する」と言うのだ。
月と犯罪の関係は英語の単語にも反映される。
①"lunatic(狂人じみた)"
→ラテン語で「月に影響された」の意。
ギリシャ神話に登場する月の女神「ルナ」が語源。
②"moonstruck(気が狂った)"
→直訳すると「月に(頭を)打たれた」という意味から狂ったと訳される。
ここでアイリーンが配達員を呼び寄せる時の背景に注目する。満月は分かるが「海(波)」の意味がよく分からなかった。
しかしアーノルド・L・リーバー氏の理論によると、地球と人間の7〜8割を占める水分が月の周期によって様々な影響(満潮や月経周期)を与えているというのだ。
昔はこれが通説とされていた為、MVでもこの話を採用したのだろう。
MVの内容は以上だと考えている。
ただ、このままでは何点か謎が残る。
彼女たちは何者なのか?
①アイリーンだけが生存し、他は幽霊になった
MVに映るものとイメージ写真の屋敷は全くの別物であるという事から、新聞記事にあった火事で彼女たちの屋敷は全焼し、(火事の原因はイメージ写真に映る雷か?)
そしてアイリーンだけが生き残ったという考えだ。理由はアイリーンのキラキラと輝く衣装に対する4人の黒が基調の衣装との対比だ。
また、廊下を走っているシーンで初めにアイリーンは映っていなかったのに突如現れたりする現象を踏まえて。アイリーンと4人にの間には何かがあるに違いない。
これまでのMVを引き継いで。また満月の夜に手を下す性格や、血を連想させる真っ赤な衣装を身につけている点から。
ターゲットに初めは親しく近付くが、本性は猟奇的殺人犯のサイコパスであるという点から。また、吸血鬼にも通じるが満月は最も悪霊や魔力が高まるという謂れから。
そして興味深いのは、同じアルバムのティザー動画でレコードに映り込む「Peek-A-Boo」のMV。最後の方に映る「オオカミ」は登場しない。
しかし、魔女はオオカミに変身できるという能力がある点からも、魔女である可能性は大いに考えられる。
なぜ配達員と共にメンバーは逃げたのか?
分身したように思えるがこれはある種のメタファーで、これまで彼女たちが見せていたサイコパスな面とは違う「恋をした純粋な少女」の二面性を見せていると考えている。つまり、好きな人を逃がしてあげたいという「2つ目の人格」が突如現れたのだろう。
彼女たちがサイコパスと純粋な少女の二面性を持つ可能性は歌詞からも考えられる。
"버튼을 눌러보자 쿵푸만큼 빨리 중간에 내 맘 변해도 놀라지 말기 (ボタンを押せばカンフーのように早く 途中で私の心が変わっても驚かないわ)"
ボタンを押した瞬間に人格が素早く変わるといった現象に彼女たちは驚いている様子が全く無いのだ。
第二章: モチーフとなった作品
今回のMVやイメージ写真を見ていると、モチーフとなった作品が何点か思い浮かぶ。
これについては第一章の序盤で詳しく触れたので、是非そちらを確認してほしい。
②스토커(ストーカー)
パク・チャヌク監督によるホラーサイコ映画。
ビジュアル面で重なる部分がいくつかある。恐らくこの作品はストーリーでは無く、パク監督の醸し出す耽美な美術面が影響を与えているのではないだろうか。
③箪笥
キム・ジウン監督によるホラー映画。
こちらも「イノセントガーデン」と同じく、ストーリーではなく美術面で影響を受けている印象だ。
④THE SHiNiNG
スタンリー・キューブリック監督による作品。
サイコホラー映画の最高傑作とも呼ばれ高い。
※この作品については内容にも少し触れるため、ネタバレが苦手な方は飛ばして下さい※
小説家を志す主人公ジャックは、冬は雪で閉鎖されるホテルの管理人として家族と共に住む。しかしそこは昔家族を殺し、自身も自殺したという所謂「事故物件」だったが、小説家希望のジャックはむしろそれを快く受け入れる。
息子のダニー、そしてホテルの料理人のハロルドは「シャイニング」という特殊能力を持っており、その特殊能力が不幸を奏しホテル内の超常現象を目撃してしまう。
超常現象に翻弄される家族は、最終的にどうなるのか。考察に直接的な関連は無い為、結末は書かないようにする。
彼女たちは薄着なのに冬物のブーツを履いているのは、映画の舞台が雪深い山という要素に繋がりを感じる。
また、子どものダニーが「シャイニング」という特殊能力を持っている事に関連付けるとするならば、ウェンディのイメージ写真で見られる分離した様子や、1人だけ子どもっぽい服装を身につけている現象の根拠ともなり得る。
ビジュアル面でもそっくりで、手の角度まで同じだ。こちらも①〜③に同じく話の内容というよりは美術面での影響がほとんどだろう。
また、これに関しては単なる偶然の可能性の方が高いように思えるが「ウェンディ」という登場人物の存在に偶然とも必然とも言えない何かを感じた。
しかし感服すべき点は、ビジュアル面での影響も全て「ホラー映画」からの着想というところだ。この徹底振りは凄い。
⑤Emily Wants To Play
個人的に激推したい説はこれである。
今までは映画モチーフを紹介したが、これだけはホラーゲームである。
舞台は屋敷。プレイ主の設定は「ピザ屋の配達員」だ。
欧米ではホラーゲームの主人公がピザ屋の配達員というのはメジャーで、すなわち「死」を意味するという。
ある雨の日にピザ屋の配達員はお屋敷にピザを届けるが、雷が落ちたと同時に閉じ込められてしまう。概要はこの屋敷からの脱出ゲームだ。
何より興味深いのは、配達員は23時にピザを届けに来たのだが0時になると襲われるという点だ。
襲いに来るのは3体の人形とエミリー。彼女は昔母親に殺された事をきっかけに生き霊となってしまい遊び相手としてピザ屋の配達員を夜な夜な呼び、ゲームをするのだ。
"Emily Wants To Play(エミリーは遊びたい)"というタイトルからして、彼女は悪意があって襲っているのでは無く、単純に遊びたい心理なのである。
(※人形が目の前に突如現れるキャプを載せたかったが、絵面が怖すぎるため自粛)
あらゆる方面から「バァ!」と出て来る場面はさながら「Peek-A-Boo, 까꿍, いないいないばぁ」そのものだ。
もしこのゲームになぞらえてMVを再考するならば、アイリーンが生き霊で他の4人はアイリーンのお人形という考え方も可能だ。
ゲームでは生き霊のエミリーがPCから、MVではアイリーンが電話でピザの注文を行なっている。
①〜④まではビジュアル面での影響が感じられたが、⑤に関してはストーリーが似ている印象だ。
ここでゼリーの色に注目してほしい。配達員とイェリの前に置かれたゼリーは黒っぽく、他は緑色だ。しかし、いざ配達員が食べているゼリーを見ると緑色なのである。
黒から緑に変わったタイミングは0時。
ここで緑色と狂気に関する話をしよう。
「アブサン」という緑色のお酒がある。度数が高く、幻覚作用ーつまり麻薬と同じ効果があるそうだ。
その昔ゴッホ自身や太宰治の作品にも登場したアブサン。人々は幻覚に陥り「狂気の元凶」と呼ばれた。
すなわち0時になったタイミングでゼリーが緑色になった=彼女たちの精神状態が狂気の最高潮に達した
と考えられないだろうか。
第三章: ティザー写真の謎
Ⅰ. 衣装の謎
イェリの服には"LOVE SEES NO COLOUR"(条件や偏見の無い愛)と書いてある。
MVではスルギの服に"Love is(愛は)"とも書いてある。
「Hapiness」考察でも触れたが、やはりRedVelvetは愛の在り方に言及する事が今後もあるだろう。
ここにおいての「偏見の無い愛」とは
①人種の違い(MVなら欧米人とアジア人等)
②人間や幽霊との違い
③恋愛対象としての性別の違い
この3つが考えられるのではないか。
しかしMVでは偏見の無いメンバーに対し、彼女たちの本来の姿(人種or幽霊or恋愛対象)を知り配達員は一目散に逃げてしまう。
それを見て「偏見の無い愛」の服を着たイェリが配達員に失望し、石弓で撃った事も可能性として考えられる。
"이상해 어라 넌 좀 달라 이런 게임 멈추고 너를 다시 보게 돼 무섭지 않아 난 새로운 얘기가 펼쳐질 거라는 걸 방금 느꼈으니까 (おかしい あなたはちょっと違う こんなゲーム中断してまたあなたを見てしまう 怖くないの 私は新しい話が広がっていくのを今感じたから)"
本当なら配達員を逃すはずの彼女たちは、配達員が「偏見的な愛」の持ち主だった事を知り"おかしい"と思い"ゲーム(=Love)"を中断し、"新しい話(殺し)"を始めようと"今決心した"のだ。
ウェンディの服には"THEREE SISTERS"とある。三姉妹とMVに関する要素を考えると「運命の三姉妹」が思いつく。
「運命の三姉妹」とはギリシャ神話に登場するクロートー, ラケシス, アトロポスの3人でまとめて「モイラ」と呼ばれる。モイラはギリシャ語で元来「割り当て」ーつまり人間で言うと「寿命」を司る女神として3人がそれぞれの役割を担っていた。
人間の寿命を糸の長さに見立て、
クロートーは「糸を紡ぎ」
ラケシスは「その糸の長さを測り」
アトロポスが「最後に切る」のだ。
こうして人間の寿命(=生命の長さ)は決められた。RedVelvetも配達員の寿命を決める存在であった事から「運命の三姉妹」との関連性は伺える。
だからウェンディの武器はハサミだっただろうか。
①スルギだけが虹色の衣装ではない
これについては今回のMVに直接的な関係が無く、以前からスルギだけ衣装が異なっていた事の延長線上にあると思われる。
②アイリーンだけが赤いブーツを履いている
やはりアイリーンと4人の決定的な違いを反映させているようだ。
また、アイリーンの靴に注目すると片足だけ違う靴を履いているようにも見える。
アイリーンの存在がどのような影響を及ぼしているのかについては今後も楽しみに見守りたい。
そしてやはり「不思議の国のアリス」的要素の代表である「カップ」がウェンディのリボンに現れたようだ。
こちらもグループ系の謎なので、今後とも注視して関連性について考えていく。
Ⅱ. 黄色い車の謎
イメージ写真の数枚に登場する黄色い車。不思議な点は「スルギと共に映っている」というところである。3枚目に至ってはスルギだけ車の方を見ている。
今までRedVelvetの作品には「車」が多く登場した為、今回もその関連だと考えられる。
第四章: 社会批判的要素
「Hapiness」
→資本主義
「Dumb Dumb, Russian Roulette」
→資本主義, マスメディア, いじめ
「7월7일」
→セウォル号事件
とMVでは社会的(批判)要素を取り入れてきたが、今回はどんな要素があるのか。
Ⅰ. 現代の恋愛におけるスタンス
"맞아 난 좀 기분파 헤 금방 또 사랑에 빠져 새것만 좋아해요 반짝거리죠 다들 그렇잖아요 맞죠 (中略) 설렐 때만 사랑이니까 내 친구 모두 소리쳐 넌 정말 문제야 (そう私はちょっと気分屋で ヘヘ すぐまた恋に落ちるの 新しいものだけ好きなの キラキラしてるでしょ? 皆もそうじゃない そうでしょ? (中略) ときめく時だけ愛だから 私の友達は皆叫ぶの アンタは本当に問題児ね!)"
歌詞を見ると「新しいモノ好きの恋愛体質」な人物が読み取れる。
すぐ恋に落ちやすい気分屋は、相手のキラキラした部分が好きだが、逆に言うとキラキラしていない人間臭い部分が見えると途端に幻滅するのだろう。そうして取っ替え引っ替えする彼女を見て友人たちが「アイツはおかしい!」と言っているーそんな図が浮かぶ。
MVで一際大きなダイヤモンドをかざすウェンディを見てもそうだ。ダイヤモンドには「情熱的な愛」の意味がある。しかし、この情熱は「熱しやすく冷めやすい」のだろう。
Ⅱ. ピザゲート事件
この説に関しては書く事に躊躇いがあったが、思い当たる要素が多いため書いてみる。
「ピザゲート事件」とはワシントン州のピザ店が「小児性愛」に関する拠点になっているというニュースだ。
被害者からの通報も物的証拠も何も無いが、様々な噂をピザゲート事件反対派がスレッドに書き込み、事態はウソかホントか分からない者が実際にピザ店に訪れ発砲する等の大事件となった。政府は「フェイクニュース」という結論を示している。
実際にネット掲示板では「チーズピザ」は「児童ポルノ」の隠語として扱われており、"ピザゲート"に関わる人々は今も「陰謀論」の中に生きている。
タイトルである「Peek-A-Boo」="いないいないばぁ"はそもそも小さな子どもにする遊びなので、そのような意味でもこの説が0%影響していないとも考えられない。
ここで「陰謀論」について少し話をすると、その代表格である「秘密結社」という組織が思い浮かぶ。
実は「Hapiness」MVでも詳しくは触れていないが、「秘密結社による陰謀論」的要素とも捉えられる表現があった。
こじつけ程度に軽く読み流して欲しいが、秘密結社のメンバーには「秘密の暗号」としてのハンドサインがあったり。6に見えるこのハンドサインは彼らの「666=悪魔の数字」にも見えてきたり、私自身も疑念ばかり頭をよぎる(616説もある)。
グロテスクな話だが、このピザゲート事件ではその参加者たちは人肉を食べるパーティーを開催しているとの噂もまことしやかに囁かれている。
MVで配達員を殺害した5人はその後彼をどうしたのか。単なる杞憂に過ぎれば良いが。
あとがき
「Peek-A-Boo」考察いかがでしたか。
まずはこの膨大な量を読んで下さり本当にありがとうございます。
配達員を狙った少女たちの歪んだ愛情表現をシンプルに映しているかと思えば、見れば見るほど様々な要素が溢れてきて個人的にもすごく難儀な作品でしたが書いてて凄く楽しかったです。
ちょうど上に貼った画像の右下に書いてある
"NOVEMBER 17, 2017 AT EVERYONE'S DOORSTEPS"
普通なら「RELEASE」と書く所を敢えてこのピザ屋との世界観を崩さないように「玄関(へお届け)」と表記するこだわりっぷりには感激しました。
最後の説に関しては本当にこじつけ程度に見て貰えればと思います。ピザゲート事件や秘密結社、陰謀論をもしお調べになる際はお気をつけを。
ストーリーが似ていたホラーゲームも、調べるにあたってどうしてもプレイしたり動画を見たりしたのですが、怖すぎてこのように記事を書くのが遅れたのでそちらも併せてお調べになる際、苦手な方はご注意下さい。
次作は早く書けるようホラー要素が無いことを切実に祈っています(笑)
そしてそして、最後にはなりますが自己満足で始めたこのブログが少しずつたくさんの方の目に留まっているようで先日pv数が急増していました。
こんなブログではありますが、今後とも少しでも楽しめるようなコンテンツになれば何より嬉しいです。
それではまた。 エト
【Red Velvet】Red Flavor(빨간 맛)考察
こんにちは、エトです。
今回は「Red Flavor」の考察です。
第一章: ティザー写真の謎
これまでの記事をご覧頂いていた方はもう見ただけで分かると思うが、やはりチェリーが登場する。アイリーンはピアス、イェリはブレスレットだ。
そして暗闇の中を探検しているような様子。何を探しているのだろうか。また、ジョイが持つ懐中電灯だけやけに光っているのも気になる。
だが一番気になるのは、何故かウェンディだけ照らされる側にいるという事だ。
第二章: MVの謎
MVについては視覚的には勿論、下段に日本語訳もちょくちょくと表示されるため何の話かすぐ分かるだろう。
Ⅰ. メンバーを表す果物
各メンバーは今回「果物」に擬人化されている為、まずその確認から始める。
アイリーンはスイカ。
彼女のイメージカラーはピンクなので、何故ピーチとかでは無いのかと思っていた。また、歌詞に出てくる
"깨물면 점점 녹아든 스트로베리 그 맛
(噛むとだんだん溶けてゆくストロベリー味)"
このストロベリーでも良かったのでは?とそんな思いばかり巡っていたがその直後の歌詞、
"내가 제일 좋아하는 건 여름 그 맛
(私が一番好きなのは夏のその味)"
つまり、スイカの旬が夏と言うように「夏」と関連のある果物が必要なのだ。
スルギはパイナップル。
ウェンディはオレンジ。
ブルーの果物が無い為、オレンジの中を無理矢理青くした訳では無い。恐らくだが、オレンジの旬が夏では無い為、まだ"青い"という意味も含まれているのではないだろうか。
ジョイはキウイ。
イェリはグレープ。
以上がメンバーを表す果物設定である。
Ⅱ. インタビュー内容
MVではメンバーが果物にインタビューをする様子が描かれている。以下ではそのインタビュー内容を全て挙げる。
"어릴때부터 그렇게 달콤하진 앉았어여. 크면서 속도 좀 차고... (小さい頃からそんなに甘くはなかったです。大きくなるにつれて中身もしっかりしてきて...)"
"어릴 땐 이렇게 단단하지 앉았죠. 되게 연약했어요. (小さいときはそんなにしっかりしてなかったです。すごく軟弱でした)"
"혼자서도 잘 놀았어요. 외동이었가든요. (ひとりでも平気で遊んでました)"
"굴이랑은 안 친했고... 어릴 때 한라봉이란 애가 전학 왔는데! (みかんとは仲良くなくて... 小さいときポンカンっていう子が転校してきたんですけど!)"
"혹시 와인 잘 아세요? (ひょっとしてワインに詳しいです?)"
"맨날 두발불량이라고, 학생부에 불려갔어요. (いつも髪型が不良だって指導部に頭髪検査で呼び出されていました)"
"쨈이 꿈이었어요. (ジャムになるのが夢でした)"
"어렸을 때 장난 엄청 많이 치고, (小さいころはすごくイタズラ好きで、)"
"한쿡 온 지 알마 안돼가지구... (カンコクに来たばかりで...)"
"라임 아세요 라임? 저 걔랑 되게 친한데! (ライム知ってます?ライム!私あの子と仲良いのに!)"
"친구들이랑 헤어져야 한다는 게... (友達と別れなくちゃならないのが...)"
"............... (...............)"
"식사는 하셨어요? (ご飯食べました?)"
"가끔은 내가 누구인지 헷갈리기도 하고요, (時々自分が誰なのか分からなくなるときもあるし、)"
"커서 다시 만나보니까, (大きくなって再会したら、)"
"툭하면 굴러다니는 거 너무 싫어요. (すぐ転がっちゃうのがすごく嫌です)"
"!#$%&!@#^@%*#!^*(#@? (!#$%&!@#^@%*#!^*(#@?)"
"(장래희망은)아이스크림! (将来の夢は)アイスクリーム!"
以上である。内容だけを見ると思春期の女の子たちへの純粋なインタビューという印象だ。
Ⅲ. MVの内容
ではまず最大の疑問点から。彼女たちは何故自分たちがモチーフの果物にインタビューをしているのか。
答えは「自分自身へのインタビュー」だ。
だからこそ、本来ならば「人×果物」のインタビューが果物同士だったりあるいは人同士になっているのだ。ここでは人と果物はイコールである。
幼い頃の写真と、その姿を再現したアイリーン。
一方スイカは新芽が育つ様子。
雨に降られる少女。新芽の姿と重ねて描かれている。
少女たちが勉強をし、最後にテストで100点を取る。
テストで100点を取った暁には、彼女たちはすっかり幼い少女から成熟した女性へと成長していたのだ。
=熟れた果実へと生長
勿論、見た目(外見)だけでなく中身(精神)も成熟した状態である。
もう説明する必要も無いが、今回のコンセプトは彼女たちの成長を果物に見立てたMVである。
ところで1つ気になる点と言えば、グレープ以外のフルーツは中身の色がメンバーカラーとリンクしているが、イェリだけは外側の色という所である。
そもそもパープルのフルーツがグレープ以外に思い当たらない為、仕方無い部分があるのだろう。もしこじつけをするならば、末っ子であるイェリはまだ成熟していないとでも言うのであろうか。こればっかりは分からない。
第三章: まとめ
① 今回のコンセプトは彼女たちの成長を果物に見立てたものである
②スルギの服装だけ違う事が多い
【Red Velvet】Rookie考察
こんにちは、エトです。
今回は「Rookie」の考察です。
第一章: ティザー写真の謎
もはや今まで幾度となく登場してきた「本」がイメージ写真そのものになっている。
スルギだけが豪華な装飾品を身につけている。「Hapiness」で彼女だけ王冠を被っていた事と関係があるのだろうか。
"FIND ME!"から始まり何かを探しているような、あるいは発見したような仕草。このポーズは今後も覚えておくべきである。
そしてポーズが以前のMVやイメージ写真と共通しているものが数ヶ所見受けられた。
スルギが着ているニットの猫は「Ice Cream Cake」で登場した猫と色こそは異なるがオッドアイだ。
第二章: MVの謎
メンバーがいる部屋の右側、スカイブルーのクローゼットから出てきた"花の生物"。
香水やお茶、電話に読書と部屋で何かを行うメンバー。何故かアイリーンは何もしていない。
そして、おもむろに"花の生物"がカチンコを鳴らすとメンバーが動き出す。
ここでカチンコに注目すると「ROOKIE」のほんの一瞬前に「BYYUSO」と見える。
ROOKIEのアルファベット順を10個ズラすと見事に一致する。だが、BYYUSO自体の意味は分からない。
そして、ジョイが毎度のように登場する「カップ」を割るのだ。つまり、ジョイはカップを割って、これまでの童話の世界線で生きていた事からの脱出を目論んでいるのではないだろうか。
それだと今回のアルバム自体が独立した1つの童話風になっている事にも繋がる。
童話の世界から抜け出そうと決心したジョイは、怪しげな物をメンバーに見せその匂いを嗅がせる。すると、花の香りに当てられるメンバー。
一方、洋服を選んでいたスルギとそれを見ていたウェンディだが、スルギがクローゼットの中に何かを見つけて慌てて閉じる。
意を決して再び開けると、クローゼットと繋がった異空間に引き込まれてしまう。
そこには"花の生物"と、先ほど花の香りに当てられたイェリが走り回っていたのだ。
不思議に思いながらも奥に進むと他のメンバーもいた。
たくさんのメンバーが木陰からひょこっと姿を現すが、次に現れると全員がイェリになる不思議な現象。
そして「木」を境にメンバーが入れ替わったり、ひとところから出てくるこの構図。
f(x)の「4Walls」と全く同じである。
しかし、この不思議な空間は明らかに童話から脱出した世界では無かったようだ。
元のクローゼットに戻る事にしたメンバー。
アイリーンが最後に入り、意味有りげな笑みを浮かべながら閉じ、マッチで火をつける。
アイリーンは「7월7일」でもロウソクが灯る空間で、1人だけ後ろを振り返る。そこは「幻想の世界」だった。
そして、アイリーンが火を灯す事で現れた世界はまたしても不思議な空間なのである。ここも幻想の世界のようだ。
その頃何も知らないジョイは、これで童話の世界から脱出できたとほくそ笑んでいた。
しかし、空間の行き来をしたせいかフラつくウェンディ。ここで床に注目してほしい。
順序としては、ウェンディ→スルギ→イェリ→アイリーン→ジョイと右回りである。
最初と最後の2人はフローリングだが、あとの3人は歪んでいたり海の中のようだ。つまり、まだ童話の世界は残っていて完全に脱出できていない事が考えられる。
そんな事はつゆ知らず、ジョイは脱出の為にドアを開くがそこにはスカイブルーのクローゼットの中の世界のような所で、4人のメンバーがきちんと座っていた。
慌ててその世界から逃げるように出るジョイ。まだ脱出できていない事に気付いたようだ。
そこを襲い掛かってくる"花の生物"。
イェリとアイリーンによって引かれる幕から再度現れたクローゼット。そこからジョイが出て来る。恐らくまた童話の世界に逆戻りしたのか。
だがここでガタガタと揺れ出すクローゼット。不審に思っていると、何と爆発して中から残されたメンバーが「船」に乗って出て来たのだ。
"花の生物"を撃退する為に闘うメンバー。
最後は舞台に降りた"花の生物"とメンバー達が挨拶をしていると思いきや、実は撮影のセットだった。
つまり、最終的にはジョイの計画通り「童話の世界」から脱出する事に成功したようだ。
そんな筈が無い。
これは全てアイリーンが仕掛けた罠だからである。
ジョイが脱出を図っている事を知りながら、火をつけて幻想の世界を作り出し、「童話の世界」にいる事を示唆するような存在であった"花の生物"を操ってジョイの行く手を阻んでいたのだ。
どうやらジョイは、アイリーンの手のひらで転がされ途方も無く広い「童話の世界」の中で幻想を見続けさせられているのだろう。
第三章: モチーフの謎
Ⅰ. アリス的要素
今回のMVで、今まで散々その可能性について考えて来た「アリスモチーフ」が確固たるものとなった。
衣装からアプローチすると分かりやすい。
アリスにチェシャ猫、そしてトランプ兵だ。
ここで面白いのは、脱出のリード役となったジョイ。実はチェシャ猫も人々に道を示す役割があるのである。ジョイはチェシャ猫の役割を担っていたのだ。
だからジョイの笑みはニヤリとしたものだったのだろう。(チェシャ猫はニヤニヤ笑う)
また、最初の部屋で他のメンバーと比べて、シンプルな真っ赤なスーツとバラをあしらったリボンを身に纏ったアイリーン。
"バラの花を赤く塗ろうよ 急いで塗ろうよ うまく塗ろう 赤く塗ろうよ(中略)『どうして塗るのよ白いバラを?』どいしてかって実はな 間違って白いバラを 植えてしまったんだよ あぁ女王様は赤がお好き 白バラ植えたら 殺されちゃう"
これは不思議の国のアリスのワンシーン。赤が好きな女王の為に白いバラを赤いペンキで塗っているところだ。つまり、アイリーンは赤の女王なのである。
そのせいで花の匂いを嗅いだ時、イェリとは違い真っ赤なバラしか登場しなかったという事も十分に考えられる。
スルギが目にしたこのシーンは、言わずもがなアリスが白ウサギを追いかけるシーンである。
大きなイェリに驚くメンバー。今度は大きなアリスに驚く白ウサギたちのシーンだ。
Ⅱ. オズの魔法使い的要素
ただ、アリスだけに焦点を絞るのは危険なのでここでもうひとつ考えられる童話を挙げる。
それは「オズの魔法使い」である。
アリスと同じく、主人公ドロシーの服装が似ている。
そして「Dumb Dumb」のティーザー, MVで登場した「赤い靴」は、ドロシーが魔女を倒して手に入れた物である。MV中に吹き荒れる風も、オズの魔法使いで登場する要素でもある。
"아끼던 구두를 신을까 생각해 원하는 곳에 데려다 준다고 하잖아 오즈의 도로시처럼 나 (大切にしていた靴を履こうか考えた 行きたいところへ連れて行ってくれるじゃない オズのドロシーみたいね私)"
また、RedVelvet「Cool World」の歌詞にもオズのドロシーは登場する。
事務所ぐるみのミュージカル「School OZ」では、スルギがドロシー役を演じている。
第四章: まとめ
①今回のMVではこれまでいた童話の世界からの脱出を描いている可能性
②ジョイが脱出を図るがアイリーンが全ての元凶になり、失敗した可能性
③アリスをモチーフにしている事はほぼ確実
④オズの魔法使い(ドロシー)をモチーフにしている可能性も浮上
あとがき
「Rookie」考察いかがでしたか。
どんどん複雑になっていく世界観に戸惑いを隠せませんが、考える事はすごく楽しかったです。もうすぐカムバックと聞いているので、また新たな要素にワクワクしています。
そう言えば、本編には書かなかったのですが「7월7일」で外界に出ようとするジョイと、より奥の世界へと入ろうとするスルギの対比が今回にも通じるな、と思いました。何か関係があるのか今後も忘れずに見ていきます。
そして、ブログを毎日チェックするのは面倒かもしれないと思ったのでTwitterにブログをアップしています。もし宜しければこちらからアクセスして頂くと便利だと思います。eto. (@kpop_kousatsu) | Twitter
カムバックに間に合うように他のMV考察を進められるように頑張ります。
それではまた。 エト
【Red Velvet】Russian Roulette考察
こんにちは、エトです。
今回は「Russian Roulette」の考察です。
第一章: ティザー写真の謎
今回のイメージ写真は次作「Rookie」に繋がる部分が多いので、通ずる部分については次の記事でまとめて書く予定。
Ⅰ. アイテムの謎
画面上の時計の針に注目すると「2:1」
次作「Rookie」の発売日「2月1日」に繋がる。
「Hapiness」で登場した「チェリー」のネックレスとピアスを着けたジョイとイェリ。
「Automatic」で登場した「トマト」を持つスルギ。
そしてMV中ではあるが、こちらも「Hapiness」で登場した「パイナップル」のピアスをしたイェリ(恐らく)。
今回のイメージ写真は単体の謎と言うよりは、グループの作品を通じての謎が大部分を占めている。
Ⅱ. 既出作品のオマージュ
先程のフルーツ等と重なる部分もあるが、以前に出されたMVやそのイメージ写真の要素が見受けられる。
スルギは「Hapiness」のイメージ写真のようにオレンジ色の背景に髪、カラフルな衣装、胸にはユニコーンのネックレスがある。
また、ウェンディの写真には
「Automatic」=テーブルや食器
「Dumb Dumb」=そばかす, パーマ
「7월7일」=カップ, 雨の窓
などたくさんの要素が詰め込まれているようだ。
Ⅲ. フォントの謎
また、Automatic以降採用されているフォントはICCと今作に再び登場した。このフォントが用いられる共通点は何か。これ以降の作品にも採用されるようであれば、その要素を整理する予定だ。
第二章: MVの謎
今回のMVには大きく分けて3つの側面に分けられていると推測する。
①アイリーンを巡る4人の奪い合い
②ロシアンルーレットに似たいじめ構造
③マスメディア批判
③については前作「Dumb Dumb」に通じる要素が多いので、もし良ければご覧下さい。
それでは早速それぞれのパートを詳しく見ていこう。
Ⅰ. アイリーンを巡る4人の奪い合い
同じ場所にいるカットが何箇所かに散らばっている事から、時系列が狂っているように見えるが服装や場所などを考慮して大体の筋を立ててみた。
おもむろにイェリがアイリーンにボールを当てる。
しかし次のシーンではボールを当てられたのにも関わらず、アイリーンがイェリを膝枕している。
ここで考えられるのはボールは物理的な意味ではなく、気持ちを表した物ではないだろうか。
イェリの気持ちが伝わりアイリーンを独り占め。これにメンバーたちが嫉妬する。
そうはさせまいと次に現れるのはウェンディ。
アイリーンとイェリの邪魔をしにプールへやって来る。
こっそりとプールの水を抜いて…
恋敵イェリを突き落とすのだ。
晴れて作戦は大成功、ウェンディはアイリーンを独り占めできた。
そんなウェンディにテニスで対決を申し込むスルギ。審判のジョイはハラハラしている。
一方、ウェンディの攻撃から復活したイェリは、再度アイリーンへのアプローチをする為にテニスコートへ。
時を同じくジョイも、テニスで白熱しているウェンディとスルギを置いてアイリーンへボールを打ち込むのだ。
アイリーンを独り占めするジョイ。イェリはまたしても負けたようだ。
スネたイェリはテニスボールをテーブルに投げる。
そして大好きなアイリーンの気を引きたいのか困らせたいのか、シリアルにネジを混入させるのだ。
イェリはマンネ(末っ子)という事もあってか、スネたり相手の困る事をして気を引こうとする。
MV冒頭でメンバーが耳打ちをしていくシーンでも、アイリーンから言われた事をウェンディに伝えないのもそのせいか。
その頃、ジョイにアイリーンを取られたままのウェンディとスルギはここで結託して、あや取りをして遊んでいる2人にピアノをぶつけようとする。
しかし気付かれてしまったようだ。
スルギはリベンジを図るため、ジョイにお化粧をする事を口実に、かねてより準備していたカラクリ屋敷に招待し作戦を実行する。
カラクリを通じてジョイの頭に冷蔵庫をぶつける事に成功したようだ。
ここで以前から結託していたウェンディも加わりやっと3人に。しかし、スルギはまだウェンディすらも邪魔な存在である。
最後はベッドで寝ているウェンディを道路に置いて完全に独り占めするのだ。
そして待ちに待った2人きり。ライバルがいない時にお得意のカラクリを用いて気持ちを確実にアイリーンに撃ち込む。
だが最後には復活を遂げたライバルたちに報復を受けるスルギ。
以上がアイリーンを巡る4人の奪い合い説である。
ところで何故テニスなのか、という点については恐らくテニスの得点数の呼び方が「0=ラブ=LOVE」だからではないだろうか。
"넌 항상 Love is game 쉽게 즐기는 가벼움일 뿐이라고 (あなたはいつも Love is game 気楽に楽しむ軽いものにすぎないって)"
Ⅱ. ロシアンルーレットに似たいじめ構造
ご存知だと思うが、このMVではメンバーらが様々な手法でお互いを攻撃し合っている。
ここで各メンバーの加害・被害状況を整理すると
ジョイ
〔加〕アイリーン, スルギ〔被〕ウェンディ, スルギ
このMVの舞台が女子高のような雰囲気というのがミソである。さて、いじめ問題で5人を職員室に呼び出した時に「誰を注意すればよいか」分かるだろうか。
答えはもちろん全員である。
いじめた相手の数など多少個人差はあるが、誰もが加害者であり被害者であるのだ。
学生時代、よくいじめの標的がコロコロと変わるようなグループは無かっただろうか。筆者は小学生の時に隣のクラスであった。
一体では何故そのような事が起こるのか。その心理は「いじめられるのが怖いから」である。いじめている間は少なくともいじめられない。
まるでロシアンルーレットのように、自分の引き金を引いた時に弾が入っていなければ緊張感は極端に減る。そして"次の相手に弾が入っている事を意識・無意識に関わらず望む"のである。
Ⅲ. マスメディア批判
3点目は前作「Dumb Dumb」に引き続きマスメディアに関する批判的メッセージである。
MVでのメンバー同士の攻撃は、あからさまな表現は全てアニメーションに任せている。これによって直接的な暴力要素は排除されており、親しみやすいムービーになっている。
ネズミとネコの関係が反転したアニメーションと言えば「トムとジェリー」のような気がするが、これは「ザ・シンプソンズ」のアニメの中に出てくる「The Itchy&Scratchy Show」である。
これをどう批判しているのかと言うと、メンバーの表情がポイントである。
MVを見ていて気になるのがメンバーがほとんど無表情という点である。そしていじめ合っていると言うのに、ウェンディ, スルギがピアノを落とすシーン、またジョイがテニスボールを打ち込む際は悪い意味なく純粋に笑っているようにも見えるのだ。
つまり、アニメ(マスメディア)を見て育った子どもは、そっくりそのまま育ってしまうという事だ。
「The Itchy&Scratchy Show」のような過激なやり合いを小さい頃から日常的に見ていると、特に周りから「これはアニメだから」と注意を受けない限り、現実との線引きが難しくなる。
なので、メンバーたちはいじめ合っているようにしか見えないが、実は彼女達は道徳心や罪悪感が欠如した状態で遊んでいるだけなのだ。
最初はボールを当てるくらいの遊びが、テニスボールを本気で打ち合うようになり、車に轢かせ、頭上に冷蔵庫を落とす…というようにエスカレートしているのもそのせいだと考えられる。
そして、そのような子どもたちがMVでは増殖していく。増殖した子どもには実体のないような影のみの描き方=前作「Dumb Dumb」のマスメディア批判要素も垣間見える。
しかし、
「Dumb Dumb」はマスメディアからの大量生産・大量消費の過剰な情報量に対する批判
「Russian Roulette」はマスメディアから与えられる情報の取捨選択能力(=メディアリテラシー)に対する批判のようにも思える。
簡単に言えばこの2作は情報の「発信側」と「受信側」のそれぞれを批判しているという事である。
第三章: まとめ
①イメージ写真にはこれまでのMV等の要素が多く取り入れられている
②次以降の作品のネタバレも多い
③MVではアイリーンを4人が取り合う
④いじめの標的がロシアンルーレットのようにコロコロと変わる様を描いている
⑤メディアの影響力の恐ろしさ
あとがき
「Russian Roulette」考察いかがでしたか。
今作くらいからグループ系の謎が如実に影響してきているのを感じて、そろそろ整理しないといけない気がしています。
今作はみんな異常に可愛いですが、特にウェンディちゃんがコンセプトと相性が良かったのか、ものすごく可愛いなと思いながら書きました。推しはウェンディちゃんかスルギちゃんかデビュー当時から迷ってます。
最後に、これはあとがきで書く事では無いのですが、スルギのカラクリでMVでは恐竜のおもちゃが登場してジョイの頭に冷蔵庫が落ちるような流れですが、よく見ると奥に使われていない形跡があるんですよね。
これはアイリーンへのカラクリなのか?と思ったのですが、あのMVの流れからして不自然で。
これは今後もしばらく悩まされそうな謎です。
それではまた。 エト
【Red Velvet】7월7일考察
こんにちは、エトです。
今回は「7월7일」 の考察です。
第一章: コンセプトの謎
RedVelvetの所属事務所SMEは「7월7일」をタイトル通り「七夕伝説(織姫と彦星)」になぞらえた "1年に1度の逢瀬" をコンセプトにしていると公式発表。
しかし、以降に表示する写真やMVからは七夕伝説よりも「セウォル号事件」の情景がひしひしと感じられる作品になっている。
実際タイトル写真を見ても、普通なら天の川が背景になるところ「黒い海」が背景になっている。
また、雲の後ろに月があるこのモチーフ。
現在の太陽暦ではなく、太陰暦(=旧暦)を意味しているのではないか。
となると、
7월7일MV公開日=3月17日
セウォル号事故発生日=4月16日
すると、事故が発生した4月16日の旧暦が公開日の3月17日と重なった。
7月7日にかけて、7×7=49はどうだろうか。
49日と聞くとピンとくる人もいるだろう。
言葉の通り「四十九日」=故人の魂が次の世へ移る日である。
ただ、四十九日は仏教の習わしなので韓国でこの考えが浸透しているかは不明である。
【追記】旧暦について発売日とMV公開日を間違えて書いておりました。コメントにて教えて下さりありがとうございます!
もう一点。先輩であるf(x)が7月7日に発売した「Red Light」これは公式的にもセウォル号事故の批判作品だと表明している。
第二章: ティザー写真の謎
まずはウェンディとジョイの写真。
ウェンディの手には大きな折り紙の船、そしてジョイの足元には小さな折り紙の船がたくさん。
言わずもがな、セウォル号事故で弔いの為に折られた船と同じ物。
スルギだけがこちらを向いている。
アイリーンを取り囲み回る4人。
"かごめかごめ"をしているようにも見える。
かごめかごめには、真ん中の人に霊を取り憑かせ、再び会う事ができるという都市伝説がある。
灯りを持つ5人。灯りには故人の為の道を照らす役割がある。
第三章: MVの謎
冒頭では各メンバーが順に映る。
スルギのアイシャドウ、そしてイェリの背景にも何か黄色の物がある。(アイリーンも黄色のアイシャドウ)
セウォル号事故の犠牲者を悼むイエローリボン。その色から来ているのではないだろうか。
ウェンディとアイリーンの背景にある張り紙。
「N 15-16」や「AIS」が読み取れる。
AISは「自動船舶識別装置」の略で船名や進路、速度などを発信し船同士の衝突等を防いだり船の情報管理に用いられている。
N 15-16に関してははっきりと分からないが、事故が起きた(15〜)16日を指すと推測する。
実は、事故の原因究明の為にAISの情報を解析しようとセウォル号の船内から機械を探すも見つからなかった。普通は載せてあるはずの機械が無いーそもそも載せていなかった、不自然にデータが消された、脱出の際に持ち出した。色々な憶測が飛び交った。
この張り紙にはその陰謀を表していると考える。
船内を彷彿とさせる狭い廊下。
佇むウェンディを鍵穴から覗くスルギ。
鍵穴には「秘密」の意味も。
イメージ写真でもスルギだけがこちらを見ていたように、何か「秘密」を知っているのか。
ドアから外に出ると海のような背景が一面に。
一方、アイリーンは部屋の中で椅子に座り鏡を見つめている。
横にはジョイ。
ジョイは階段(梯子)を登る。下にはまた海。
イメージ写真でも窓から外に出るような描写があるジョイ。先程触れたイエローの服を着た彼女。「光,希望」を表す。
ジョイがコーヒーの表面(=海水面)に上がるとスプーン(=船)が。ジョイは助かったのか、はたまた間に合わなかったのか。
室内(=船内)にいたスルギが窓を開けるとウェンディが雨に打たれてずぶ濡れになっている。
段々と辺りが暗くなる中、イェリは船の上で横たわっている。この船はセウォル号を表すのか、それとも小型ボートを表すのか。
メンバーが座るテーブルから離れていくジョイ。ここでジョイが歌う歌詞は
"우리, 다시 만나 (私たちまた会おうね)"
やはりジョイと後の4人で明暗が分かれる。
水で満たされた部屋(船内)か廊下にいるスルギ。
妙に落ち着いた様子は、悟りや途方のない気持ちが感じられる。そして遂に扉から出る。
扉の向こうに居たのはイェリ, スルギ,ウェンディ, アイリーン。白い衣装を纏って幻想的な森の中に居る。
ここにジョイは居ない。
ジョイは外に出る描写から生存
アイリーン, スルギ, ウェンディ, イェリは恐らく船に取り残されたのだ。
事故当時、船の多くを占めた修学旅行生や利用客は避難指示が出ず「船内に残るように」と指示があった。
場面が変わり、ウェンディが机の下に潜る。辺りには水がある事が分かる。
ロウソクの灯る空間にいる5人。
空にはオーロラが。オーロラには「夢,幻想」の意味が。5人でいる事は夢なのか。
先程まで寝ていたイェリがようやく起きたが、彼女の周りには既に水で満たされている。
アイリーンもまた、丸い窓から突然水が押し寄せ倒れてしまう。2枚目の写真では突然部屋の色が"水"色に。部屋の上に現れた家具から、部屋が水で溢れた事を表現している。
先程4人が居た森に現れるジョイ。
彼女だけ黒い服を着ているのは喪服の役割か。
次々とランプが消えていく廊下を急ぐ様子もなくとぼとぼと歩くスルギ。右側にある非常ベルの存在が本当にやるせない。
他のメンバーとは少し変わった行動を取っていたように見えるスルギ。スルギが知っていた「秘密」は、セウォル号事故が自然発生的なものではなく人為的である事についてなのだろうか。
第四章: モチーフの謎
ここからは「7월7일」の写真やMVに関与したと見られる美術的モチーフについて考える。
Ⅰ. ルネ・マグリットの謎
まずはアイリーンが鏡に向かう場面。
ルネ・マグリットの「不許複製」を彷彿とさせる。
瞳の中に映るウェンディ。再びルネ・マグリットの作品「偽りの鏡」に似ている。
こちらもルネ・マグリットの「毒」
ルネ・マグリットの作品はRedVelvetの他のMVに留まらず、他グループにも登場する。
(上: Bad Boy MV/下: ルネ・マグリット「イメージの裏切り」)
(上,中段: f(x) 4walls, 下段: ルネ・マグリット「白紙委任状」)
(上: f(x) Pink Tape / 下: ルネ・マグリット「恋人たち」)
などなど。これはもうルネ・マグリットの謎と言うよりはミンヒジン先生の謎。
Ⅱ. 童話の謎
更には童話(と言うよりディズニー)的要素もある。
アイリーン: リンゴや髪型から白雪姫
スルギ: ロウソクや1輪の花からベル
イェリ: 長い金髪やピンクの衣装からオーロラ姫かラプンツェル
ジョイ: 窓から出る姿からウェンディ
ウェンディ: 赤い髪やスカートの形からアリエル
ウェンディがウェンディでは無いところが面白い。
また、どのイメージ写真を見ても絶対に足が写っていないウェンディ。人魚設定の細やかさが垣間見える。
更によく見ると2人の椅子は同じ。
そしてジョイの右手に嵌められた指輪がウェンディの写真で確認できる。この手はジョイのものなのだろうか。
イメージ写真ではティーカップが何度も登場する。ここで気になるのはカップに液体が入っており、更にそれを飲もうとしているのはウェンディだけという点である。
イメージ写真ではアイリーンとティーカップの組み合わせが無いのも気になる。
ただ、アイリーンはアルバムのジャケットシーンではスルギ, ジョイ, イェリらとカップを持っている。ここでも飲んでいるのはウェンディだけなのだ。
ティーカップが印象的な童話と言えば「不思議の国のアリス」が真っ先に思い浮かぶ。そして前回の考察「Dumb Dumb」ではグループ全体のモチーフとして「鏡の国のアリス」がベースになっている可能性があると書いた。
まさにこのシーン。不思議の国のアリスの続編「鏡の国のアリス」でこのような部分がある。
"これなら簡単に通り抜けられるわ (中略) 次の瞬間、アリスは鏡を通りぬけて、ピョンッと鏡の国の部屋に飛びおりていました。(中略) そして、本物の火が、後にしてきた部屋と同じくらい明るく輝いているのを見て、アリスはとてもうれしく思いました"
第五章: まとめ
①「7월7일」はセウォル号事故をモチーフとしている可能性が非常に高い
②MVではジョイが生存した設定
③MVではルネ・マグリットの作品がモチーフとして多用されている
④メンバーはディズニーキャラクターとも重なる
⑤アリス的要素は今作品だけに留まらず、RedVelvet全体に関わる可能性がある
あとがき
「7월7일」考察いかがでしたか。
この考察が毎度の事ではありますが合っている訳では無い(と言うより公式が違うと表明している)ので、本当にただの個人的な解釈だと思って下さい。
今回は書いていて辛くなった場面もありましたが、自分の好きなグループの作品の考察が僅かな可能性であれ、あの事故を思い出させる(=風化させない)機会となればと考え最後まで書きました。
最後に、セウォル号事故に関わった全ての方々へご冥福をお祈りすると共に、今後の人生が少しでも心穏やかに、そして素敵なものになりますよう祈っております。
それではまた。 エト